そして、それから弓枝は愛武が来るまでの間、暇なので、さらにマルイの別の売り場でアメリカフロリダディズニー旅行に必要な物は何かないかと探し回った。
すると、帽子売り場で、アメリカディズニーに身に着けていると相応しいと思われる大きな耳当てのついたお洒落な柄のニット帽子が目に飛び込んできた。
“アメリカフロリダ旅行で、あんな素敵な耳当ての付いたニット帽を被ったら素敵だろうなぁ~”と真面目に弓枝は思い、それを直ぐ手に取って近くでジックリと眺めた。
暫くそれをよく調べ、品定めをしてから、そして徐に店員の所へ行くと、こう問いかけた。「すみませぇ~ん!これ、他にも種類ありますか?」「はい!今、そちらへ伺いますので少々お待ち下さいませ!」直ぐに弓枝の目の前にマルイの店員は飛んできた。
「あの、これの事なんですけどぉ~、女性物で他にも種類はありますか?」「はい、今お調べしますので、暫くお待ち下さい!」テキパキとマルイの店員は、耳当ての付いたお洒落な柄のニット帽子がここに置いてある以外の他の種類がないか調べ始めた。
「似たような物で、やはり、人気の商品がこちらにありますが?」店員がそう言った時、弓枝は直ぐこう返答した。「ちょっと見せて下さい!」店員は直ぐに弓枝にその“似たような物”を手渡したのだった。
それは、トナカイの柄が入ったシンプルなデザインの耳当てニットだった。最初に弓枝が選んだ物は、花柄のデザインが入った白とピンクの女らしい感じの物だったが、こちらは白と濃いグレーでちょっと大人っぽく、そしてカッコも良く男性でも似合いそうな感じだ。
散々、悩んだあげく弓枝は、やはり、自分は女の子らしい線で決めたいからと最初に気に入った花柄のデザインの耳当て付きニット帽子に決めたのだ。
「これお願いします!でも今、お金ないんであと40分後に払えると思うんで取り置きお願いします!」「はい、勿論、構いませんよ!では、お預かりしますね!」
直ぐに話が纏まると弓枝は、愛武が来るまでの後40分間にして措かないと行けない、ある事を思い出し、直ぐに別の売り場へと移動した。そこは7階の婦人バッグ売り場だった。
バッグ売り場で弓枝は、手持ちのお洒落な黒いバッグと一緒に持ってきた大き目の白い紙バッグの中から婦人物のお洒落な革バッグを出して婦人バッグ売り場の中央レジにそのバッグを紙バッグから出してレジの上に突き出した。
「あのぉ~!これやっぱり気に入らないので返金して欲しいんですけどぉ~!」「それでしたら、返金と言う物は基本的に当店では取り扱っておりませんので、そのバッグの料金に上乗せして、より高い商品と交換と云う形になりますが、よろしいでしょうか?」