それから弓枝と楓の二人は、さらに又、2人の男と会い一万円づつ弓枝が手渡される事となったのだ。
それは、あっと云う間の出来事だった。男達は少しも躊躇う事無く、弓枝にオネダリをされるままに一万円札をすんなりと差し出したのだった。やはり、男達が言いなりになってしまう訳は、其れほどまでに弓枝が美しいからだろうか?其れとも、何か別の原因が関与しているのだろうか?それは考えれば考えるほど複雑に絡み合った糸の綾の様だった。
だが、この時、弓枝は男たちが自分の言いなりになるのは、其れほどまでに自分が美しいからだと信じて疑っていない様子だった。また、友達思いの楓も弓枝を思いやるあまり、そうだと思い込むようにしている様子だった。
しかし、弓枝は、婚約者の愛武の家からの帰りがけに待ち合わせた2時間ほどの短い時間内に5人の男と会い、総額15万円も万札を男から受け取ったのだ。これは、ただの笑い話で済まされる話でない事は確実だ。
短い時間で高額が手に入ってスッカリ満足して悦に浸っている様子の弓枝は笑顔満面で得意げだ。ご自慢の可愛いピンクのハーフコートも心なしかキラキラと輝いて見える程だ。
「じゃあ、スッカリ上手く行ったし、もう今日は帰ろうか!」と弓枝が言った時、地味な黒のブレザーと水色のトレーナーと紺色のスカート姿の楓がこう答えた。「うん、帰ろう!あっ、そうだ!ねぇ、弓枝ちゃん、愛武とはどうなっているの?上手く行っているの?」「ああ、よく聞いてくれたね、楓ちゃん!うん、上手く行くも何もさぁ、弓枝ちゃん、愛武と婚約しちゃったよぉ!」「ええ、それ、いつの話!?」「実はね、今日、楓ちゃんと会う前に愛武と会ってたのよ!」「そうなんだぁ!すごいね、おめでとう弓枝ちゃん!」「有難う、それで今度、アメリカのディズニーに愛武と行く約束をしたのよ!」「じゃあ、それって婚前旅行だねぇ~!」「まあねぇ!でもさぁ、今時、結婚するまでHしないっての流行ってないしねぇ~!」「そ、そうだねぇ、弓枝ちゃんの言うとおりだよね!」
それは、その通りだと思う、お互いが本心から好きだと感じて愛情を感じたなら結婚までHをしないで我慢すると言うのも現代の若い世代には相応しくない考えだと思われる。
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