その箱は綺麗なベルの形のデザインがついた赤い包装紙で包まれていた。少し、クリスマスっぽい感じだったが、中々洒落ていて良い感じだ。しかし、良い友人であるだけの楓の誕生パーティーの為にわざわざ二つも誕生プレゼントを買ってくるとは愛武も相当に人が好いと思われる。
楓がテーブルの上でその二つ目の誕生プレゼントの箱を開けると、その中からこれまた最初の一つ目のプレゼントと同じ色の薄緑色の分厚い本のような物が出てきた。
「何、これ!」楓がそう尋ねると、弓枝が自分で持ち込んできたシャンパンを注いだグラスを片手にしゃしゃり出てきて「ねぇ、みせてよ!」とその薄緑色の分厚い本のような物を楓から取り上げたのだった。
「あっ!弓枝ちゃん!何?!」「これが何だか見てあげるよ!・・・・ううんとね、あっ、これは」そう言いながら、弓枝はその薄緑色の分厚い本をパッと開こうとしたが、中々開かなかったのだ。
「あれ、これ開かないよ・・・どうやら鍵付き見たい・・・あっ!そっかぁ!これ多分日記だよ・・さっきのこれが入っていた箱の中にきっと鍵があるはずだよ!みてみなよ楓!」「あ、本当だ!今、箱の中をもう一度見たら、鍵みたいのが入ってたよ!頭良いね弓枝ちゃん!」
箱の中から出てきた鍵は、金色の小さな鍵だった。つまり二つ目のプレゼントは鍵付き日記だったのだ。
「こんなにイッパイ、プレゼントをもらって悪いね・・有難う!」「嫌、これに毎日の出来事を書き留めて置くと良いと思ってね!多分この先、色んな事があると思うからさ・・」と少しだけ意味深な事を愛武は言うと、弓枝から鍵付き日記を取り上げて楓に渡したのだった。
別にその時、弓枝は逆らわなかったが、「私には何もないんだね!当たり前だよね、今日は楓の誕生日だから・・でも、出来たら私も何か欲しかったなぁ・・ねぇ、今日はいいから今度私に何か買って!ねっ、いいでしょ!!」と初めて出会った愛武にいきなりプレゼントを請求して愛武は度肝を抜かれたのだった。「ええ!君、初めて会って、いきなりそれはないだろ!でもね、決して駄目だと言っている訳じゃないよ!」としどろもどろと言い訳地味た事を言い出したのだ。
弓枝は既に愛武が自分に気があるのを見抜いていたかのようだった。確かに弓枝に掛かると、どの男も全てみな恋の奴隷になっていたのは確かだった。今回も、多分、例外ではないのだろう。