楓と愛武と弓枝の3人だけのパーティーは、時間が経つほどに、順調に進んでいるかのように見えていた。弓枝が買ってきたシャンパンも残り僅かとなり、ほろ酔い気分になった皆は薄っすらと頬が紅潮して綺麗なピンク色になっていた。
「君の頬っぺた、指でこうして突っつきたいくらい魅力的だよ」そう言う女性が喜びそうな甘い台詞を吐くと愛武は弓枝の頬っぺたをチョンと右手の一指し指で突っついたのだった。今日の愛武は薄緑色のブレザーにクリーム色の長丈のパンツと爽やかな好青年風の装いで弓枝の一昔前のイケイケファッション風の黒いデザイン柄の模様に黄色のワンピースと妙にマッチしていた。また、さらにザマス風の伊達めがねをしていたが、それもすごく様になっていてイカシテ見えた。
「あんた、こうしてみると、すごくいい男だね!いよぉ~~色男・・・カッコいいよ!!」突然、何を言い出すかと思ったら弓枝が大笑いしてハシャギナガラそう言って来たのだ。「愛武は楓の幼馴染で同じクラスだったけど、確かに学生時代から女子にモテモテだったよ!」楓も負けずに会話に参加しだした。
楓の格好はお誕生日の主役らしく黒いドレス風ワンピースに腰の背中側には大きなリボンが形好く蝶結びになっていた。フリルがふんだんに使用されているのもいっそう上品さと可憐さを演出していた。
「やったぁ~~!!私、モテル男って大好き、ねね!今度買い物つきあって?絶対ね!約束しよう!!来週の土曜日はどう?予定、空いてる?」
なぜ、モテル男に対して買い物を付き合えと言うのかは、よく分からなかったが、今の愛武は酔っているせいもあったが弓枝の男殺しの美貌と男慣れした洗練された仕草にスッカリ参ってしまっていたので、ハッキリ“NO!” と言う事ができなかった。
「構わないけど、予定ならその日はちょうど空いてるよ!」
お坊ちゃん刈りの貴公子のような面差しの愛武は間違いなく女性にモテルタイプだった。愛武に片思いをして沢山の女性が身の程知らずにも告白をしてはアッサリと交わされ、涙していた事がまるで昨日の事のように髣髴と蘇る。学校中のアイドルのような存在で、常に光り輝いていていたが、まだ若く女性に関心が薄かった為、どうしてもつれない態度を取ってしまったのだった。
ただ、遠い親戚に当たる楓に対しては男女の色恋の感情抜きで親身な感情を持てる間柄だったのだ。だが、最初にもお話したが、決して、ただの一度だって女として見た事はなかったのだ。愛武にとって楓は、遠い大事な親戚なだけであって、そういう対象ではない事は間違いなかった。
「わぁ~~!嬉しい、楽しみにしてるよ!」弓枝がはしゃぐと楓も遠い親戚の好として愛武にとってもお似合いの素敵な彼女を紹介できた喜びが胸イッパイに溢れ出していたのだった。
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