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それから少し時が経ち、いつしか愛武の健康状態と経済状態は、日に日に悪化して行き貧窮を極めるようになって行った。花のプリンスの麗しい美貌もいつの間にやら消えうせていた。いうまでもなく、そうなってしまったのは、全て弓枝の物質欲の強さによるおねだり攻撃の直撃をストレートに食らい続けたためだった。

いくら父が実業家でまあまあの金持ち家庭での育ちであっても、弓枝の求める金銭レベルの高さに追いつくのは、いつもやっとの思いだった。弓枝はお金の問題には非常に神経質な性質で、お金のことで激しく言い争う場面もここのところ増えて来ていた。

ある日など、愛武が弓枝がその時要求した物品を即座に購入する資金が不足しているために仕方なく断ると、その途端逆切れしたように弓枝が喚き散らしてきた。愛武が、いくら熱心に宥めても駄目で弓枝の感情がすぐに平静に静まることはなかった。そして、とうとう仕舞いにはお金がなくて今すぐ購入が無理だったらマンションを解約して戻って来た敷金で購入して欲しいという始末だった。

その時弓枝が欲しがった物は、毛皮のコートと着物とできたらそれプラス四駆のパジェロだった。

断ろうと思えば、断れると思うのだが、もしハッキリと断ったならその後暫くの間ずっと嵐のような殺伐とした険悪な状態が続くのは目に見えていた。

「分かった!マンションを解約するかどうかは分からないけど、何とかするよ!・・・あっ、それから、楓ちゃんから聞いたんだけど、この間あの子の部屋に弓枝ちゃんが遊びに行った時に、洋服が2,3着無くなっていたって聞いたけど本当なの?」

「えぇ~!何でそのことを知ってるのよ!へぇ~、それに楓と個人的に電話で話したりしているんだぁ~!あはは、笑っちゃう!ねぇ~、でもそれってさまるで私が盗んだに決まってるって
言い方ですごくむかつくんだけど、私そんなことしてないよ!謝ってよ!」

「言い方が悪かったなら謝るよ、ごめんね!決して本気で疑っている訳じゃないよ、ああ、でもそれからね、それ以外にも、この間知らない男の人から突然携帯に電話が来て、化粧品やエステ用品の請求が来たんだけど、どういうこと?僕の携帯番号を勝手に使ったのかな?!」

「知らないよ!それ私じゃないよ!他の女性じゃないの?」

「君がそういうならそうかもね、でも最近そういう変な電話が異常に増えて困っているんだよ!」

弓枝との会話も日増しに殺伐として行った。

金銭問題に関するトラブルが連続して巻き起こっていた。なので、愛武は、なるべく平静に穏便にその問題を解決しようと努めた。常に大人の男として振舞おうと努力したのだ。

結局、様々な金銭問題を一気に解決するためにマンションを引き払い、その敷金で諸々の支払いを済ませ、―
足りない分はサラ金で借りたり、恥ずかしながら頭を丁寧に下げて実業家である父親から援助してもらったのだ―愛武はあっという間にスッキリと身辺整理をしたのだった。

そして、最終的には、愛武の実家にも謎の色んな商品の請求書が届くようになった。その結果、愛武の実業家である父親がこう愛武に言い放ったのだ。「おまえと弓枝君とみんなで、ここで一緒に暮らせないかな?」愛武の父親の台詞は、もちろん金銭的に苦労が押し寄せてきている二人の暮らしぶりを心配してのことだた。

話はすぐに決まった。愛武と弓枝は、それから間もなく二人の家族や親戚や友人や知人を呼んで盛大に華やかに結婚式を都内近郊の結婚式場で挙げてから愛武の実家で一緒に暮らすこととなったのだ。

弓枝も金銭的に愛武より豊かな愛武の父親が住む実家で暮らした方が経済的にももっと優雅で楽しく生活できると思ったのだ。弓枝がどんなに我侭を言ったりキカンボであっても愛武は決して見放すことはしなかった。最後まで頑張り通して男として愛する女性に対する責任を果たしたのだった。

実家で皆で暮らすようになると何もかもが順調に運ぶ様になった。愛武のお父さんの事業もドンドン伸びて行った。そして、一時はあれほどヤツレタ愛武の麗しい美貌もまたいつの間にか蘇って元通りになったのだ。もうこれから先はお金に困っても“むじんくん”やサラ金に行かなくても良くなったのだ。もしお金に困ったらすぐに愛武のお父さんに相談をすれば良くなったのだ。また、父親の手前体調に悪いからと言われ、当然のことながら愛武は、夜の水商売の車の送りのバイトも辞めたのだった。

とても幸せな毎日で、愛武のお父さんもお母さんも二人とも弓枝に対して、とても親切で優しく常に思いやり溢れる態度なので、あまりの幸せに屡、突然、部屋の中で弓枝が嬉し泣きにしゃくりあげることもあった。もう二度とお金に苦しむことはないのだ。このままずっと幸せに愛武の実家で愛武と愛武の家族と皆で仲良く暮らしていけば、それで良いのだ。

愛武は、その後、タレントの仕事が次々入るようになり、人気もドンドン上がって行き、短期間でスターダムに伸し上がった。そして、その後ずっと弓枝は、今を時めく日本の人気スターの花嫁として華麗で美しく優雅で誰もが羨む夢のように幸せな生活を末永く送っていったのだ。(終)

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