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弓枝はこのところ愛武とは、ずっとご無沙汰だった。婚約期間中だというのに前にも話したとおり、愛武は弓枝との愛の巣であるマンションの頭金の調達のためと、その後のよりよい二人の交際の充実のための資金繰りのために朝も夜も関係なく寝る間も惜しんで終始一貫働き捲くっていた。何としてでも、毎日、朝から晩まで働き捲くって稼いで弓枝と幸せでリッチな生活を送ってみせる。愛武は心からそう思っていたのだ。何よりも金持ちの親のどら息子と人から後ろ指を指されるのが辛く情けなかったので自力でお金を稼ごうと努力を続けていた。

花のプリンス、ざます風伊達メガネがとても似合う現在進行形で新人スターの色男愛武の色香はいつの間にか仕事疲れで窶れ褪せていた。前のあの凛々しい風貌はいつの間にかどこかに消え去っていた。

そんな自分の姿を哀れに変えるほどまでに涙ぐましい愛武の努力を他所に弓枝は、相変わらず様々なショッピングフレンド達や同じ目的に向かって共に歩む仲間達と常に一緒に行動をし孤独に悩むということはただの一度もなかった。元来、愛想がよく人好きがするタイプなので、いつ何時でも孤独の悲哀に苦しむと言うことはまずありえなかった。常に大勢いる取り巻きの中の一人が必ず弓枝の傍に侍っている状態だ。今、こうしている間も、おそらく弓枝は、どこぞの馬の骨とも分からぬもの達に、まるでメシアのように様々な奉仕を受けているに違いない。

この光景を恋と呼ぶにはあまりに不十分で危なっかしい状態だと思われる。恋愛未満と呼ぶのも明らかにふさわしくないだろう。恋や愛が存在する場所にメシアの活動があるとはとても思われないからだ。だが、間違いなく、このメシアの活動を弓枝は出会う者達殆ど全ての者に特に強いる訳でもなく、いつの間にか自然に実行させていた。弓枝に出会うと殆どの者達がまるで雷に打たれたように言いなりになっていた。このことを知らない者達が聞いたなら非常に興味深いことだと感じると思う。

ならば、そのメシア活動とは一体、具体的にいうとどのような活動なのだろうか?まず、その最も代表的な活動内容の一つを挙げると部屋の整理整頓、掃除、荷物の上げ下げや移動だ。弓枝は誰かが部屋に訪れてくると必ず18番で部屋の整理整頓や掃除をさせていた。その際、指先一つや顎で指図をしていた。

だが、それに反抗したり逆らう者は殆どいなかった。いや、皆無に等しかった。皆、弓枝を一目見ると―過去に会ったショッピングフレンド以外にも新たに出会い系や伝言で知り合った者達の場合だ―その美貌に一目惚れをしてしまい瞬間的にただのメシアに成り下がっていた。

その次に多かった活動がオークション商品の写真撮影だ。弓枝は生まれつき美貌があるばかりでなく商才にも優れており今流行のネットオークションにも積極的に参加をしていた。小学生の頃に公文式に通っていただけあって計算は得意だ。なので、どれだけ儲かるとか利益があるとかをすぐ頭で暗算ができるのでオークション活動などの商売活動がすごく好きで趣味なのだろう。弓枝がよく売りに出していた商品は、もっぱら着古した洋服やコスプレだった。着古してはいても、元が超ブランド品が多く、きちんとクリーニングに出していたので、新品同様とは言えないが、売る際にそれほど問題はなかった。

また、一度も袖を通していない洋服やコスプレもたくさん持っていたので、―弓枝はショッピングフレンドにとにかく出来るだけたくさん洋服やコスプレを買わせ捲くっていたので中には一度も着たことがない物も多かった―それらは『新品同様』とオークションで売りに出す際に注意書きで説明を入れいてた。洋服やコスプレ以外にも靴類や骨董品や家具や小物などもオークションに出品していた。

たくさんのさっき出会い系や伝言で知り合ったメシア達は、弓枝に顎で指図されるままそれらの商品の陳列―写真が撮りやすいようにポーズを付けて綺麗な色のシルクやビロードやサテンなどの布を敷いたテーブルの上に置いたりした―や写真撮影に励んでいた。もしかしたら、いや確実に今、現在でもきっとその活動は続いているのだと思う。そして、その活動は、ひどいと徹夜に至ることも多かった。さらには3日3晩それは続いたのだ。

ある者は寝ないで皮のブーツを専用の磨き粉やクリームで磨かされた。そして、ある者は、弓枝の実家ビルの3階の中間の敷居である壁を撤去する作業に借り出され長時間作業に追われた。―電動ノコギリを使用していた―さらに、ある者は、屋上の倉庫まで走らされ倉庫の中のものをソックリ一度外に出し、奥にある物を取り出す作業を指示された。

無論、いづれも無報酬だった。

無報酬ならまだ良いが初めて会ったばかりだというのに、イキナリ出会いがしら弓枝におねだり攻撃を受け数万もするカメラを買わされた女性もいた。もっとそれより酷い例を挙げると、弓枝と初めて出会った男性が―自営業の人らしかった―おねだりされるまま一つ返事で外に30万円のエアコンを買いに行くという超すごい事件があった。初めて会って何の付き合いもない女性によくそこまで出来るなと誰でもが思う瞬間だ。まるで皆、神の申し子のように弓枝のために自己犠牲を払っていた。

これらの活動のために弓枝の部屋や領域は毎日のように家具や物の配置が変わっていることが多く、常に整理整頓されている状態だった。唯一、何か欠陥があるとしたら、しょっちゅう家具移動を行うためにその際に使用するために無数の段ボール箱を開いたものがあちこちに散らばっていることだ。それ以外はいつ突然尋ねて行っても弓枝の部屋はいつも完璧に整理整頓されていた。

殆どの人が弓枝に出会うとどんなに悪い噂を聞いた後であっても、まるで魂を抜かれたように弓枝の言いなりになっていた。中国の4大美女というものがあるが、弓枝がその中の誰かの生まれ変わりだとしたら、私は西施だと思う。

西施とは、本名は施夷光。中国では西子ともいう。紀元前5世紀、春秋時代末期の浙江省紹興市諸曁県(現在の諸曁市)生まれだと言われている。

現代に広く伝わる西施と言う名前は、出身地である苧蘿村に施と言う姓の家族が東西二つの村に住んでいて、彼女は西側の村に住んでいたため、西村の施→西施と呼ばれるようになった。

越王勾践(こうせん)が、呉王夫差(ふさ)に復讐のためプレゼントした美女軍団の中に、西施や鄭旦などがいた。勾践の策略は見事にはまり、夫差は彼女らに夢中になり、呉国は弱体化し、ついに越に滅ぼされることになる。

呉が滅びた後の生涯は不明だが、勾践夫人が彼女の美貌を恐れ、夫も二の舞にならぬよう、また、呉国の人民も彼女のことを、妖術で国王をたぶらかし、国を滅亡に追い込んだ妖怪と思っていたことから、西施も生きたまま皮袋に入れられ長江に投げられた。その後、長江で蛤がよく獲れるようになり、人々は西施の舌だと噂しあった。この事から、中国では蛤のことを西施の舌とも呼ぶようになった。

また、呉国にプレゼントした際の世話役である范蠡に付き従って越を出奔し、余生を暮らしたという説もある。

中国四大美人の一人と呼ばれる一方で、いわゆる大根足であったといわれ、常にすその長いスカートが欠かせなかったといわれている。(Wkipediaより)

上の文の最後の方に出てくる范蠡は(ハンレイ)と読むらしい。だがWkipediaというものは常に書き換えが出来る物だから、必ず正しい情報かというと定かではない。なので、少しでも疑わしい部分を発見したなら、ぜひリアルの文献の方も目を通して欲しいと思う。

弓枝と愛武が久々に再会したのは、毎日のように続く愛武の夜のコンパニオンの送りのバイトがやっと休みをもらえた時だった。

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