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また、その会うたび買い物ばかりで手も握れないと言っていた男は、その事実を隠蔽工作するかのように弓枝に促されるまま楓ともデートをしたのだった。それは、買い物デートではなく普通の大人同士のデートだった。―京都でデートをした―

もし、交際が発覚した場合楓と付き合っていたと言いたかったのかどうかは定かではない。―つまり、年齢的にどう見てもその男は妻子持ちに見えるから、そのための隠蔽工作だろうと思う―

そのデートの最中にもその男は“自分はただの貢ぐだ!”とか“みっともない男です!”などと散々愚痴をばら撒いていた。また、口癖のように“現金だけじゃ足りないのでいつもカードで買い物だよ!”ともほざいていた。さらには、“いまだ一度も買い物以外のデートはしたことがないよ!”とも楓にぼやいていた。

楓は、友人の弓枝のその妖艶なまでの美貌にはとっくに気づいていたが、まさか夢にもこんな事態が最終的に待ち受けていようとは思っていなかったので少々その話を聞かされてショックだった。薄々分かってはいても、そのような内容の話は実際に直接聞かされると何とも嫌なものだ。

だが、それでも友人思いの楓はせいいっぱい弓枝を庇おうと「弓枝ちゃんはあの子は買い物だけさせてその後二度と会わないとかそんなことする子じゃ絶対ないから信じてあげて下さいよ!」とか何とかその場の思いつきで宥めたが真実は小説より奇なりだった。

実際に弓枝は買い物だけして男を捨てていたかと言うとそうではなかったからだ。もしも、次に男と話した時、買い物をするお金がなくても真剣にジックリと時間をかけて買い物をするためのお金の作り方の相談に乗っていた。つまり、彼女からもう二度と会えないと男に言うことはなかったのだ。

生まれつき機転が利いて頭の良い女性である弓枝は、“もう駄目だとか無理だ”とかという台詞を何よりも嫌い常に前向きに明るく物事を捉え考えていく思考能力の持ち主なのだ。その彼女の明るいパワーに溢れた考えに感化されるせいか男達も弓枝といるとどんなに暗い表情の男であってもたちまち瞳孔が開き見る見るうちに明るく希望に満ちた表情に変わっていった。

よく現代は何年も前からフリーセックスの時代と風刺され、セックスフレンドという言葉がやたら使用されるが弓枝と今まで説明した男との関係はショッピングフレンドというべきだろうか。セックスをしないで買い物だけをする訳だから単なるショッピングフレンドなのには間違いないだろう。

このショッピングフレンドは今話した男性一人ではないのは今までの話を読んでも分かることと思う。弓枝は、愛武と婚約期間中もこのショッピングフレンド達と絶えず交流をして活動をしていた。フィアンセの花のプリンスの愛武が夜も寝る間も惜しんで接客業のコンパニオンの車の送迎のバイトをしている時間の最中でさえもショッピングフレンドとデートをしていることが多かった。いよいよ念願のオーディションに受かり、これで晴れてスターの花嫁として弓枝を迎え入れる権利を手に入れたという矢先に肝心の弓枝はひっきりなしに複数のショッピングフレンド達と入れ替わり立ち代り交流を深めていったのだ。

容姿が美しいことは去ることながら天真爛漫でものおじせず、まるで向日葵の花のように明るい女性それが弓枝だ。人情も深く、買い物だけで相手を捨てるという事はまずなかった。『お金がなくなったらハイさようなら』という冷たい芸当は到底出来ない女性だった。真剣に次の買い物の資金繰りの相談にいつも乗っていた。

言い方を帰れば下町の太陽、都会の天使と言った形容の言葉もピッタリ当てはまると思う。なので婚約後もたくさんのボーイフレンドやショッピングフレンドに慕われ愛されていたのも無理はないと思う。“彼女のためだったら自分はサラ金に走ってもいい”という男性は、いつ何時でも後を経つことはなかったのだ。

唯ひたすら彼女の最大の欠点でもあるその過剰なまでの物質欲が毛皮などの高級革製品の売り場や展示会に出向くと気づけばいつの間にかムクムクと湧き上がってくるので、時たまそれが頂点に達して爆発してしまうために高級革製品の売り場や展示会に来場している大勢の人の前でも突如、大きな奇声を発して周囲を呆気に取らせてしまうという実に奇妙で特殊な芸当を持っていた。

久し振りに弓枝のその奇声を聞いたのは京都のショッピングフレンドではなくてまた別の都内のショッピングフレンドといる時だった。

「ねぇ!ちょとぉおお~~!待ってよぉ~!これさぁ~~!すごく良いと思わない?」「良いと思うけど、ちょっと高すぎるね、50万円だからね!」その時高級革製品の毛皮の展示会に一緒に同行していたショッピングフレンドは正直に現在の心情をそう吐露した。「でもさぁ~!私ってば欲しいと思ったらどうしても我慢が出来ないのよね!現金が無理だったらカードも使えると思うけど・・?」「ああ、でも今月の支払いまだ終わってないし、とてもじゃないけど50万円は無理かなぁ、ごめんね!」「でもさあ、頑張れば買えるでしょ・・・・これくらい!・・あっちょっと待ってよ!」「ごめん、無理だから他の商品を見ようよ!」「待っててばぁ~~!お金がないなら、お金がなくても買える方法あるのよ!ねぇ、聞いてるの待ってって言っているでしょ!」「あっ、何するんだ!」

気づけば弓枝が一緒にいるショッピングフレンドの前にいつの間にか仁王立ちに立ちはだかり、ものすごい形相で襲い掛かっていた。「待ってって言っているのが分からないの!?」ショッピングフレンドの頬に何発も弓枝のビンタが飛んだのはその台詞のすぐ次の瞬間だった。「痛い!痛いよ!やめてくれ!分かった話を聞くから、頼むから静まってくれ!」弓枝は無視をされたショックが収まりきらないのか思わずショッピングフレンドの体を思いっきり前方から突き飛ばした。その後、止めを刺すように思い切り拳骨でショッピングフレンドの鼻の頭を殴ったのだ。弓枝はとても気のいいタイプだが一度怒ると止まらなくなる気性なのだ。見る見るうちにショッピングフレンドの顔から鼻血が垂れ出した。「君には参ったよ、分かったよ分割なら何とかなるかも・・」黒いエナメルジャケットとと黒の皮のミニスカートをはいている弓枝はまるでその時野生の目がギラギラと光る黒豹のようだった。

―ある日のことだ楓が部屋で漫画を読んでいた―それはレディースコミックだった。ネットの貸し本Renta!で48時間で105円で借りた魔木子という漫画家のQUEEN BEE ―女王蜂― と真夜中のマリアというタイトルの電子漫画本で楓はこの漫画がとても気に入って繰り返し何度も読んでいた。そのうちのQUEEN BEE ―女王蜂― という漫画電子本はまるで弓枝のことを描いているようだと楓は感じた。

漫画本を何回か続けて読むと、もう夜の22時を回っていたので、ついウトウトとしてきたが、いつもの習慣の日記をつけていないことをすぐ思い出し、慌てて机の備え付けの本棚から日記を取り出すと、それを開き日記を書き始めた。

この先きっと弓枝ちゃんに何かよくないことが起きると思います。何かとても恐ろしいことが今後いつの日か弓枝ちゃんのことをきっと襲うのだと思うのです。それは、ある日、突然やって来て弓枝ちゃんのことをきっと不幸のどん底に突き落とすんだと思います。私はその日がやって来ないことを心から祈りますが、もしもやって来たら、その時は心を鬼にして対処して行こうと思っています。毎日、不幸がやって来ないように神様にお祈りして行こうと思っています。
○月▲日□曜日 22時15分

それだけ日記に書き終わるとスッカリ眠くなってしまったので、すぐに寝巻きに着替えるとベッドの中に潜り込んで行った。それから暫し、何かを思い悩むような仕草で指で眉間や目頭を押さえていたが、気づけばいつの間にか眠りに入っていた。

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