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また何日か経ったある日のことだ。弓枝がまた楓を誘って渋谷の街に繰り出した。道玄坂の坂道の中腹にある109ビルの前で男と待ち合わせていた。もちろん、例の如く得意の伝言ダイヤルで知り合った男だ。弓枝と楓の二人は仲良く渋谷109の前で伝言ダイヤルの男と約束したとおり、はいってすぐ右側にある公衆ボックスの前に仲良く連れだって立って男が来るのを待っていた。

その日、弓枝は愛武にアメリカフロリダディズニーで買ってもらったシャネルのネイビーのスーツとフェラガモのローヒールを履いていた。対する楓は、まるで学生のように地味で真面目そうなブレザーとスカートとブラウスを着用していた。なので二人が一緒に並ぶとまるで女王蜂と地味な女学生のコンビに見えて周りから見るとやけにアンバランスで妙な感じだった。正にミスマッチとはこのことだ。

「ねぇ、遅いねぇ~~今日のオタッキーは!」「そうだねぇ~!遅いねぇ~!」「今日の奴は、来る時に化粧品を買って持って来てくれるっていってたから、すごく楽しみなの!」「そうなんだぁ~!気前が良い奴で良かったね!」「うんうん、私の大好きなマリークワントの化粧品、アイシャドーとかチークとか適当に見繕ってきてくれるって言ってたのよ!」「うん、うん、弓枝ちゃん、マリークワントの化粧品、大好きだっていつも言っているよね!良かったね本当に!」「有難う!楓ちゃんなら、そう言ってくれると思ってた、私、あの化粧品、本当に肌に乗りがいいから大好きなのよ!」「あっ、そうそう、それから弓枝ちゃん、アメリカフロリダディズニーの旅行どうだった?愛武とはどうなっているの?うまくいっているの?」「うん、旅行はすごく楽しかったよ!愛武とは旅行中初めての喧嘩をしちゃったけど、それで返って雨降って地固まるになって良かったみたい、マンションを借りてくれることになったの・・・ああ、来週荷物を運ぶのよね!楽しみだわ!ぜひ、遊びに来てね!たくさん色んな人を呼んでパーティーをしようよ!」「えっ、でも、そこは愛武との愛の巣じゃないの・・・お邪魔じゃないの?」「大丈夫愛武は仕事とかタレント養成学校が急がしくて殆ど来れないから、事実上私のプライベートルームなのよ!それに、部屋の飾りつけとか家具を置く時にどうしても他の人たちの力が必要だから、絶対に誰かに来てもらわないとならないから・・」「そっかぁ~~!じゃあ、部屋が綺麗に整頓されるまでは、何人か呼んで手伝ってもらわないとけないねぇ~!」「うんうん、たくさん人を呼んで早く部屋を綺麗にしたいね!」

弓枝がそう言った時だった、弓枝と楓の二人の前方から、一人の男がこちらに向かってツカツカと歩み寄ってくる姿が見えた。多分、とうとう伝言ダイヤルの男が来たのだろう。

男は髪の毛がふさふさとしており、髪の色は茶褐色で全体的に大きくカールが掛かっていた。なんとなく軽い感じのタイプだ。

「ああ、待ってたのよぉ~!」「おお、それじゃ、君たちが伝言ダイヤルで待ち合わした二人?」

男はニヤニヤとふさふさとして茶褐色の大きくカールが掛かっている髪の毛を手櫛で掻き分けながら、カッコをつけて二人の前に立ちはだかっていた。服装も黒のエナメルのジャケットに濃いブルーのスリムのジーンズと結構気取った感じだ。どうやら、この男は、仕草からしてスタンドプレーが好きで目立ちたがり屋のタイプのようだ。

「そう、そう、あっ、そうだ!あれ持って来た?」「持って来たよ!これだろう!」

弓枝に言われるとすぐに男は察したようで、片手に持っている鶯色の紙袋の中から黒っぽい化粧ポーチのようなものを取り出した。

「結構な値段だったから、サービスで化粧ポーチもらったからそれに入れてきたよ!」

そう言いながら、弓枝のお目当てのマリークワントの化粧品が入っているその化粧ポーチを差し出してきた。

「どうも、有難う!」「いえいえ、でっ、お礼にお誕生日祝いってどこで?」「どこでもいいよ!」「ところで、誰の誕生日なの?」「あっ、私、私、だからお祝いに化粧品を持ってきてもらったんじゃない、もう忘れたの!?」「そうかぁ~!君の誕生日かぁ~!じゃあ、居酒屋でもいく?」

そう言いながら男は飲みのポーズをした。

誕生日とは弓枝の誕生日のことだ。―だが、実はそれは嘘だった、誰の誕生日でもなかったが、弓枝の提案でそう言った方がお祝いをしてもらえるから良いねと言うことでそういうことにしたのだ―

「でも、私、さっき思い出したんだけど、お祝いしてもらうのも良いけど、今借金がすごくて返済に追われているから出来たら、お祝いするお金があるんだったら現金でもらったほうが助かるのよね・・」「ええ、現金!?そんな話は聞いてなかったから手持ちはそんなに持ってきてないよ!化粧品だってカードで買ったんだよ!」「だったらぁさぁ~!カードでお金下ろせばいいじゃん!下ろせることろ教えてあげるよ!」「ところで、いくら必要なのさぁ~!」「とりあえず5万円かな、それだけ下ろすのが無理だったら、なるべくあるだけお願いしますよ!」「お願いしまぁ~す!」

楓も話を合わせるように今、ここに着たばかりの伝言ダイヤルの男に頭をペコペコ下げてお金を貸してくれるようお願いをした。

―実はそれも真っ赤な嘘だった、弓枝はいつも何不自由なく余分なお金を男から騙し取ると貯金をしたり美容やファッションに全て費やしていた、それは弓枝のファッションや髪型や化粧を見ても分かることだったが、男達は弓枝に出会うとみな魂を抜かれたように言いなりになり、言われるがまま金を手渡していることが殆どだった―

「そうだ!良い方法があるよ!むじんくんだったら身分証明書持っていればすぐお金下ろせるよ!」迷って悩んでいる様子の男に向かって弓枝がそう言い放った。

男は暫く悩んでいる様子だったが、弓枝と楓にそれはそれは、熱心に説得されて、すっかり絆されて近くのむじんくんに向かうことになった。そこで男はピッタリ5万円借りた。だが、その時、その場で弓枝が、あともう少しどうにかならないかと大変熱心に交渉した結果、5万円から一気に8万円に金額がアップしたのだ。つまり5万円借りた後にさらにもう3万円男がむじんくんから借りたのだ。

「どうも、有難う!」「本当に有難うございます!」「いやいや、女性が困ってたら助けるのが俺のモットーだから、気にしなくていいよ!」「今どき珍しいくらい心の綺麗な人なんですねぇ~!」

そして、お金を渡してもらい終わると、借金返済に向かったりそのあとさらに他の知り合いにお金を借りに行かないとならないからと、その場でその男とは別れてしまったのだった。

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