ちょうど愛武がメモに、お勧めの商品の名前をメモに書き留めた頃、また携帯の着信音メロディーが鞄の中から鳴り響いて来た。愛武は、慌てて鞄の中から携帯を取り出すと、受話器に耳を当てた、すると、それは弓枝からの電話だった。
「ねぇねぇ、まだ少し時間が掛かりそうだから、もしあれだったら、買い物してから家までそのまま買った商品を持って、直接私の部屋まで来てくれないかな?だって同じ事でしょ?今日は家に招待しようと思ってたしさ・・」「えっ!それは構わないけど、買う商品は、このピンクダイヤモンドのネックレスだけでいいんだね!」「えっ!何言っているの?違うよ!あと店員から聞いたお勧め商品もだよ!それも一つじゃないからね!多分お勧め商品は幾つかあるはずだから、きちんと聞いてメモしてその通り買ってね!」「ちょっちょっと!買ってねって簡単に言うけどさ、僕、ピンクダイヤモンドネックレス買うだけでもうお金がギリギリで、それ以上買うとなると大変な事になるんだよね!」「それって無理って事?!カードあるはずでしょ!!カード使えばピンクダイヤ以外に一点か二点は買えるはずだよ!試して見て!」
この時、愛武は、あまりに弓枝が強制的な物言いなので思わず、最初の意志とは違いカードは持っていないと言おうと思ったが、それでは、せっかくこの愛を貫こうと思った熱い思いが全て無駄になって仕舞いかねないと思い、ここはグッと堪え、一人の太陽のように気高く誇り高く健康的で美しい向日葵の花のような女性を愛し貫こうと決意した男としてこう言い放った。
「勿論、そのつもりだよ!僕に任せてよ!」「必ず君の言う通りするから、期待して待っていてよ!」
そう弓枝に言い聞かせると愛武は手早く電話を切ったのだった。行動力抜群のハイセンス男、愛武らしい行動だと言えるだろう。その時、愛武のザマス風伊達メガネがイカス感じでキラッと光ったのだった。
それからの愛武の行動は、目まぐるしかった。約束どおりピンクダイヤモンドと店員のお勧め商品のうち、選りすぐって二点の商品を現金とカードを使ってあっという間に買い終えたのだった。この時、愛武は、今後の支払いの事とかそんなこれから先の事は、少しも考えていなかった。
ただ、ただ、一目惚れしてしまった大好きな女、弓枝の喜ぶ顔が見たかったのだ。
そして、愛武の歴史上、生まれて初めて女性にこんなにも貢いだのだった。
本当に女性に恋をしたのがこれが初めてだったし、これは正に驚くべき事実である。
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