愛武は、一目惚れしてしまった弓枝の為に24カラットのピンクダイヤモンドネックレスが¥135,000でプラチナ・ピンキーリング、税込価格¥49,350とタンザニア産非加熱ルビー1.587カラットで税込価格¥126,000の二つの商品を合わせた計3つのジュエリー商品の合計金額¥210,350の買い物を一日でやってのけたのだった。
その他にもじゃらんの雑誌の購入費や楽天地ビルで食事をした豆腐料理 月の雫で、【彩①】月の雫特製“豆冨・湯葉・豆乳”コース(8品)3000円 の代金が嵩んでいた。
また、今度弓枝と会う時にタクシー代金1,000円を持っていかないとならない、弓枝の家からマルイまでは本当に至近距離なので基本料金で済むはずなのだが、弓枝が四捨五入して切り上げてしまい、どうしても切がいいので1,000円にして欲しいと頼んできたのだ。
愛武には、本当にご苦労様だと言いたい。これは功績と評しても良いかもしれない行動だろう。一人の魅惑的な女性を一日エスコートする為に、21万4000円もの出費をしてしまったのだから。もしかしたら愛武の行動は、公で表彰されるべき行動ではなかろうか?
楽天地ビルの豆腐料理店、月の雫で8品セットの【彩①】を食べながら弓枝ははしゃいでた。料理の脇にはじゃらんの雑誌が開かれて置かれたままだ。
「ねぇねぇ、愛武!今度、温泉とか旅行に行きたいね!」「構わないけど、資金を用意しないとね!」「だからさ、一緒にその方法を考えようよ!」「方法って・・・?」「温泉とか旅行に行く為のお金を作る方法だよ!」「だから、どういう方法があるの?」
そして、会話の途中、愛武のザマス風伊達メガネが、またもやイカス感じでキラッと光ったのだった。
「うん、簡単だよ!むじんくんとか武富士とかプロミスとか手当たり次第にアタックかけてみて!」「そんなに簡単に言うけどサラ金地獄になりはしないかな?僕、心配だな!?」「大丈夫、30回払いとかあるしさ、無理しないで返済できるから!」
愛武の今日着ているクリーム色と黒いチェックのスーツの上着がブルブルと震えたように見えた。
「それが無理だったら他の方法考えようよ!何としてでも行きたいもんねぇ~!それとも今度会う時は、また買い物でもいいよ!」
いとも簡単にそう言ってのける弓枝の事を愛武は想像していた以上にやけに男に対して手馴れた女だなぁと思ったのだった。