愛武と弓枝は食事を終えると、その日は、充分買い物も出来た事だし、もうバイバイをする事にした。―愛武もお付き合いで、【彩①】月の雫特製“豆冨・湯葉・豆乳”コースを頼んだのだった―
愛武は家に帰ると、自分の部屋のベッドの上にすぐ寝転び、しばらくボォーっと今日、一日の出来事を振り返って、一人、感慨に耽った。ベッドの上で、瞼を閉じると、すぐ瞼の裏に既に愛武にとって忘れない愛しい女、弓枝の姿が浮かんだのだった。思い起こすだけで胸が熱く高鳴った。
だが、それと同時に不安も平行して湧き上がっていた。その不安とは、大好きで愛おしい対象ではあるが、非常に金が掛かると言う事だった。しかも、短時間で湯水のように大金が消えていくのは、さすがに痛かった。そして、自分の家系の財力を持ってすれば、少しくらい借金が降りかかって来ようが、最後は何とかなるさという楽観視した気持ちも愛武にはあったのだ。それに、これほどの美しい女を忘れる事など絶対にできないと思っていた。
この時点で、愛武は何としてでもこの愛を成就させて見せると強い希望を持っていた。何度、消費者金融やサラ金に足を運ぶ事になろうとも、それ相当の覚悟は出来ていた。
元々、幼馴染であり遠い親戚でもあるガールフレンドの楓の紹介であったが、そんな事もお構いなしだった。愛武の心の中に湧き上がった嵐はもう納まりようがなかったのだ。それに楓とは最初にもお話したが、単なるガールフンドであり、一度も女としては見た事がなかったのだから。だからこそ、楓からの心よりの紹介を有り難く受け取ったのだった。
さらに愛武は、美しい向日葵の花のような弓枝の事を一時も忘れないようにする為に部屋の中を向日葵だらけにしてやると言う計画も考えるようになっていた。“明日は会社帰りに、向日葵の花の種を買おうかなぁ”愛武はマジにそう考えた。
その頃、弓枝は、家に帰ってしばらく愛武に買ってもらったプレゼントを部屋の中に並べて、その美しいジュエリー商品の素晴らしさに、暫し、ウットリとして魅入っていたのだ。―食事の最中は、もし傷がついたら困るからと思い、愛武からの愛する美しい女、弓枝への愛の贈り物の包みに一切、手を触れなかったのだ―
だが、それもつかの間で、しばらくすると、スッと立ち上がり、今日、使用したブランド物ショルダーバッグの中から携帯を取り出すと、すぐに何処かに電話を掛けたのだった。すると、すぐに電話を掛けた先の相手が電話に出た。
「はい、もしもし!」「ああ、楓!元気!あのさぁ~今日これから伝言で男、引っ掛けて一稼ぎしない?」
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