弓枝が紙コップを部屋の隅のゴチャゴチャしている辺りから拾って2つ差し出して来たので、その2つのコップに楓が気を利かせてバヤリースのオレンジジュースを注いだのだった。
楓がオレンジジュースを注いでいる間に、弓枝はすばやくメモに何かを書きとめていた。おそらく、さっき話した伝言のオープンボックスに吹き込む台詞だろう。楓がオレンジジュースを注ぎ終わったと同時くらいに弓枝の作業も終わったようだった。
「はい、これ!」弓枝がさっそく今書いたばかりのメモを楓に差し出したのだった。「あっ、これさっき言ってた伝言に吹き込む台詞だね!」「そうそう」「みるね!」「うん、見たら、さっそく私の部屋の電話使って吹き込んでね!」「電話はどこなの?」「これだよ!」
弓枝の指差す先をみるとそこにはピンク色のキティちゃんのイラストがついた可愛らしい電話が置かれてあった。楓は弓枝に指示される通りにその電話で伝言のオープンボックスに吹き込む作業にさっそく取り掛かった。弓枝に手渡されたメモを見るとそこには“今から、Hな話したい人集まれ!”と言う物と“えっとぉ~!今日は私の誕生日なんですけど誰かお誕生日のプレゼントを買って祝ってくれる人がいたらメッセージ下さい!”と言う2つの台詞が書かれていたのだ。
楓は思わず噴出しそうになってしまった。無理も無い、昔からの友達である楓には“今日が私の誕生日”という台詞は真っ赤な嘘である事はすぐ分かったからだ。その上、“Hな話をしたい人”と言う募集の台詞も本当に可笑しな話で思わず笑い出しそうになったのだ。そんな楓の様子を気づいたか気づかないかは分からなかったが弓枝は「あと吹き込む伝言の電話番号は下のほうに書いてあるからね!」と語りかけてきた。
弓枝に言われるとおり、渡されたメモの下のほうをみると電話番号が10個くらい羅列して書かれていた。
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