○○町駅前で着くと、既に待ち合わせの相手らしい風貌の男が着ていたのだった。弓枝の話によると待ち合わせの男は、デニムのブルージーンズの上下姿らしいが、正に、その通りの姿の男が駅前に立っていたのだった。
弓枝が直ぐに男に声を掛けた。
「もしもし、さっきのテレクラの人ですか?」「そうだけど・・・」「ねぇねぇ、私達、ちょっと支払いで困っていてさ、幾らか都合つけれない?」「えっ・・そうなの・・」「そうそうお願い助けてよ!」そう弓枝が下手に言うと、男は急に頬を赤らめてから弓枝の顔をマジマジ見るとニヤニヤとしだしてから「幾らくらいかな、これでいいかな?」とスグサマ、ジーンズのヒップ部分の後ろポケットから財布を取り出し、そこから2万円を差し出したのだった。
「有難う!ラッキー!」弓枝はすぐさま、その万札2枚に飛びついたのだった。
今日の弓枝の格好は薄いエナメル地のハーフコートと派手な柄付きの黄色のワンピースだった。その時、そのハーフコートが少し薄暗くなった秋の夕暮れ時にギラギラと光を放ち一瞬輝きを増したかのように見えたのだった。
弓枝が待ち合わせの男から受け取った2万円をバックの中に仕舞い込むと、次の瞬間、間髪を入れずに携帯の着信音が鳴り響いたのだった。しかし、着信音がしたのは弓枝の携帯ではなくて、楓の携帯だった。
「はい、もしもし」楓が携帯に出ると男の声がしてきたのだった。「あの僕の伝言ボックスに、この電話番号が入っていたんで掛けたんだけど、・・」「ああ、そうですか?」
楓がしどろもどろしていると弓枝が「あっ、掛かってきたの?さっき適当に相談に乗ってくれる人募集であちこち、楓ちゃんの番号を入れといたから、きちんと相手して、直ぐにここに来るように言ってね!」
弓枝に言われるままに楓は、すぐさま自分の携帯電話に掛かってきた男に今から此処に来る様に電話で誘導をしたのだった。
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