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愛武は、今日昼間、買い物をした後もずっと、弓枝だけの事を思い続けていたのだ。ハッキリ言って一目惚れだった。しかも、正真正銘生まれて初めての恋だった。所謂、初恋という奴だ。

決して自惚れている訳ではなかったが、弓枝も自分の事、満更じゃないから、今度会う時は割り勘にすると言ったのだと心から信じきっていたのだ。弓枝もきっと自分に本気であるに違いないと内心踏んでいたのだ。

今現在、選りに選って自分があれだけの高価な買い物をした後にも、まだ満足が行かず、恋する相手弓枝が楓と後、男二人の4人で、 一路、ドン・キホーテの新宿東口本店に向かっているとは、夢も想像していなかった。今から弓枝との来週のデートが楽しみだなと思いながら一人ネットで、色んなサイトの閲覧をしながら悦に浸っていた。

また、前にもお話したが、愛武は、土日の休みのどちらかを必ずタレント養成学校に通うようにしているのだが、いよいよ今度、初のオーディションを受ける事になっていた。そのオーディションに受かれば愛武は晴れて念願のスターになる事が出来るのだ。一応、目標はアイドルだったが、愛武の生まれつきの美しい容貌とセンスを持ってすれば、それは容易な事だろうと思えた。

さらに付け加えるならばタレント養成学校での成績も上々で、いつも先生からお褒めの言葉を頂いている程なのだから、かなり高い線で合格が予想されているのだった。正に、今の愛武は殆どの事が順風満帆だった。世界がまるで薔薇色に見えている状態なのだ。

弓枝との事だってこのまま順調に行けば何れは親に紹介をして家族公認の交際をしたいと考えだしていた。愛武の心には既に未来の結婚生活への想像と期待も芽生えだしていたのだ。“愛する女性を一日も早く親に紹介して認めてもらいたい”そう考えるのは恋をした男性なら誰でも同じ事だろう。現在弓枝と同じ19歳の愛武の心は愛と夢と希望で赤々と炎を立てて燃え上がっていた。来週、弓枝と会える日が今から楽しみで待ち遠しい気持ちでイッパイだった。わくわくドキドキしながら愛武はニヤニヤ顔でネットを見たり、漫画本を読んで一人部屋で過ごしていたのだった。

―弓枝達4人は、既にドン・キホーテの新宿東口本店に着き、店の中で買い物の商品を選ぶ作業に取り掛かっていた―

「ねぇ、これ私に似合うと思わない?この服装にピッタリじゃない?」

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