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そしてデニムのブルージーンズの上下姿の男が金を渡し終わった後もしばらく弓枝と楓の二人の傍にいたが、さっき楓の携帯に別の音から電話が来たのを知った途端、居づらくなってしまったらしく、急に“忙しいみたいだから、俺はもう帰るよ”と言い残して帰ってしまったのだった。

そして、もう一人の男を待つ間も次から次へと楓の電話の着信音は鳴り響いていた。

「ねぇ、どうしよう、弓枝ちゃん次から次へと掛かってくるよ!」「じゃあさ、誕生日の男を優先してよ!プレゼント買える男優先で、一時間起きにどんどん待ち合わせして、あっ、同じ時間に最低3人は待ち合わせしてよ!すっぽかしもあるからさ!」「頑張るけど、でも、もしも一人も来なかったら、ゴメンネ!」「一生懸命やれば大丈夫だって!」

弓枝に指示されたとおり、楓は、お誕生日を祝ってくれる男を優先して待ち合わせした。すると、あっと言う間に後30分後に3人待ち合わせが取れたのだった。この3人すべてがお誕生日を祝ってくれる男だった。

そして、30分間待つ間も決して無駄に為らない様に弓枝は駅前の公衆電話で最初に吹き込んだ伝言のオープンボックスに返事が来ているかどうかのチェックも楓に指示したのだった。弓枝に言われるまま、楓は駅前の公衆電話にさっそく入り込み伝言のオープンボックスの返事のチェックを開始した。―その時、もし掛かってきたら返事をしないとと言う事で自分の携帯を弓絵に預けたのだ―

すると、4,5人くらい返事が返っていたので、さっそく自分の携帯番号を知らせ会えるなら、直ぐに連絡をくれる様にとお返しのボックスに返事を吹き込んだのだった。そしてその作業を終えると、公衆電話から飛び出て、また弓枝の下へと小走りに戻ったのだった。弓枝も、楓が公衆電話で伝言の返事を返している間、公衆電話に行く際に楓から預かった楓の携帯に掛かってくる電話の応対をしていたのだった。

「ねぇ、4,5人返事が来ていたんで携帯番号入れといたよ!でも来るかな?」「来るんじゃない、何人かは、来たら、もうデパート閉まっているから現金で祝ってもらおうよ!」

時計を見ると、もう既に夜の9時を回っていた。デパートはもう殆ど閉まってしまう時間だろう。すると遠くからこちらに向かって携帯を振りかざしながら颯爽と走ってくる男が見えてきた。

それを見て、思わず弓枝が叫んだ。

「ああ、あいつ待ち合わせの奴じゃない!」「ねぇ、弓枝ちゃん、いっぺんに本当に3人も来ちゃったらどうする!?」

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