きっと、このまま待っていれば、事の成り行きに任せていれば、愛武は必ず再び三度と現れて自分の大切な親友の弓枝の事を雄々しくリードして立派にエスコートしてくれるに違いない。
楓は弓枝と、ここ4,5年の間ずっと友人関係を続けているが、常日頃から弓枝には立派なそれなりのタイプの男性と知合って幸せになって欲しいなと思っていたのだった。正にその弓枝に相応しい男性が目の前に現れたのだった。それが愛武だった。
そんな事を日記を書いている間から思い巡らせながら、暫くすると楓は自分のベッドに入ったのだった。ベッドに入ると直ぐに楓は眠りに就くことが出来た、そして、気づけば、楽しい夢の世界で遊んでいたのだった。その夢は、遠縁に当たり幼馴染である愛武と、ここ4,5年来の友人の弓枝と3人で楽しげに戯れて他愛無いお喋りに花を咲かせている内容だった。そして夜は更けていった。
―それから幾日かたったある日の事だ―
愛武が父親と二人で家の一階の縁側に座って語らっていた。「父さん僕、真面目に好きな女性が出来たんだよ!今度、家に連れて来るね!」「おお、そうか、それは良かったな、今度、会わせてくれる時が楽しみだよ!ところで、一体どんな女性なんだい?」「うん、とても素直で明るくていい子だよ!父さんも、きっと会ったら気に入ってくれると思うよ!」「ほうほう、そういう事なら今から会うのが楽しみだなぁ~!」「うん、明日会うから、もし家に連れて来れたら連れて来るね!」「おお、楽しみにしているよ!」「もし来たら、家族と皆で写真を撮ろうよ!」「おお、そうしよう!」「それからちょっと言いづらいけど、お願いしたい事があるんだけど・・」「おお、何だ言ってご覧!」
しばらく愛武は何かを思いつめた様に俯いていたが、暫くすると何かを強く決断したように顔をしっかりと上げて父親の方に向き直った。
「僕、その子の事、本当に好きになってしまったんだよ!だから婚約指輪をプレゼントしたいんだけど纏まったお金が無くて困っているんだよ!だから、父さんに相談に乗って欲しいんだ!」
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