“さあっ!買い物も無事終了した事だし、これから弓枝の家へ向かうとするか!”愛武は24カラットのピンクダイヤモンドネックレスと店員のお勧めの中から、プラチナ・ピンキーリング、税込価格¥49,350とタンザニア産非加熱ルビー1.587カラットで税込価格¥126,000の二つの商品を購入したのだった。つまり全部で3つの商品を店員にプレゼント用の包装紙でラッピングしてもらってリボンもつけてもらったのだ。結構な買い物だったが、全てをなし終えたあとは、言い知れない充実感と空しさと不安に似た物が心に湧き上がったのは否めなかった。
やはり、殆どがカード払いだったし、今後の支払いへの一抹の不安が付き纏っていたのは隠せなかった。だが、今から、頼まれたとおりに買い物をした、このプレゼントを持って弓枝の家に行けば、まずは一件落着だと思われた。
愛武が弓枝へのプレゼントと鞄を小脇に抱えてマルイの外へ出て、マルイに面した大通りに向かって少し前に進むと、直ぐに目の中に、ある光景が飛び込んできた。それは、タクシーがちょうどマルイの玄関から真っ直ぐ前の大通りの路肩に停まっていて、その中から派手な服装の化粧の濃い女性が助手席のガラス窓を下ろして顔を出していている姿だった。それは間違いなく弓枝だったのだ。
「ねぇ!やっぱり来ちゃった!せっかく来たから、マルイでお茶と食事しながら買った商品をみせてよ!」「それは、構わないけど、お茶と食事はカード使えないと無理だよ!商品にお金が掛かってしまって、もう現金がないんだよ!」「マルイは、確か使えるはずだよ!もし使えなかったら、カードで食事できるトコ一緒に探そうよ!それからさ、今日のタクシー代、今度会った時、払ってよね!今日は私が払っておくから!約束ね!」
まるで当然の事だと言いたげに弓枝はタクシー代を手早く払い終えるとタクシー助手席のドアを押し開けソソクサとヒールの爪先から地面に降りてきた。
「君の相手はお金持ちじゃないと務まらないなぁ~~僕じゃ無理かな・・・」思わず愛武は溜息を漏らしてしまった。
すると、弓枝は「その言い方すごく頭くる!そんなやる気のない男、大嫌い、むじんくだってプロミスだって、なんだって探せばあるじゃん、やる事もやらないで無理とか言う奴って大嫌いだよ!」と物凄い勢いで剥れてしまったのだ。
「分かった!僕が言い過ぎた、謝るよ!とにかくお茶しに行こう・・・場所を探そうよ!」やはり、惚れた弱みで愛武は弓枝にどんなに怒られても詰られてもツイツイ言いなりに為ってしまうのだった。