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「えっ!愛武、それって、もしかしてプロポーズ!?」「うん、そうだよ、僕はどうやら君の瞳の虜になったようだよ、君無しの人生はもう考えられないよ!」

黒いタキシード姿の愛武の燃えるような熱い眼差しが弓枝をジッと見詰め、それと同時に自分の席から立ち上がりテーブルから大きく身を乗り出し両腕をテーブルの上に垂直に真っ直ぐ立てて顔だけしっかり前に上げ弓枝に熱視線を向けていた。

弓枝の頬が綺麗なピンク色に火照って嬉々としているのが感じられた。其れほどまでに愛武のプロポーズが嬉しかったのだろう。気づけば、弓枝は愛武の真っ直ぐ立てられた右腕のタキシードの袖の先を右手で摘んで握り締めていた。

「ねぇ、愛武、本当にこんな私でいいの、大丈夫なの?」「何を言っているんだ、僕が決めた事だよ!君は僕が人生を共に歩もうと決めた、この世でたった一人の相手だよ!」「嬉しい、愛武、私、こんなに嬉しい事って、生まれて初めて・・・」そう言うと弓枝は突然の大きな喜びで興奮のあまり顔を赤らめて大粒の涙をボロボロと流しだした。そして、バッグからハンカチを取り出し目に当てたのだ。

「ここを出たら僕の家に来てくれるね、家族を紹介するよ!」「愛武の親に会えるのね、嬉しい!、でもね愛武、その前にお願いしたい事があるのいいかなぁ?」「なんだい、言ってごらん」愛武は既にきちんと自分の席についていた。

「前から結婚する前に料理学校に行きたかったんだけどお金が無くて行けなかったの、相談に乗って欲しいのよ」「勿論、相談に乗るよ、だって僕の未来の奥さんだもの」「“ケイコとマナブ”買ってその中から選びたいの」「分かった、すぐ買いに行こう!」「入学金が結構かかると思うのよ」「大丈夫だよ!僕が何とかするからね!」そう言いながら、またもや坊ちゃん刈りの貴公子愛武のザマス風伊達メガネがいかす感じでキラッと光ったのだ。

それから、すぐに愛武と弓枝の二人は百貨店の清月堂本店を背に一路、“ケイコとマナブ”があると思われる本屋目指して進んだのだった。目指す本屋は同じ百貨店内の7階にあった、つまり今いる階のすぐ下だ。その本屋の名前は“啓文堂書店”だ。

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その百貨店の8階にはレストラン街があり、その中にちょうど“日本そば”の店舗があったので、そこへ愛武と弓枝は入る事にした。銀座に本店がある清月堂本店という店だ。

そこで弓枝は予定通り、そばを頼んだが、ただのそばでは無くて“茶そば”を選んだ。愛武は、限定メニューの鶏の照り焼き丼セットを選んだ。デザートにはミニみつ豆が付いていた。

店員にオーダーをしてから40分くらいして食事が運ばれて来た。

店の席について食事が来る前も、そして食事が始まってからも、愛武と弓枝は、少女漫画とか恋愛小説に出てくる恋人同士のように仲睦まじそうに楽しげに談笑していたのだ。それは、そうだ、もうすぐ二人は手を取り合ってアメリカのフロリダディズニーの旅行に行くのだ。箸が転んでも可笑しく楽しい状態なのは当然だ。

「ねぇ、愛武、私ね、今から食事が終わった後どんな話をされるのか楽しみで仕方ないし、とっても気になるの」「うん、そうだろうね、ごめんね、僕が拘っているばかりに今すぐに話す事が出来なくて、でも二人にとってとっても大事で良い話だから、それは心配しないでね!」「うん、分かってる愛武が私が不安になるようなお話しをする訳がないもの、今から食後の話、楽しみにしているね」「有難う、そう言ってくれると、とても嬉しいよ、僕は、いつも君と幸せになる事しか考えてないから、いつでも君は僕の言う事を信じてくれれば、それで良いのだからね!」「うん、分かった!弓枝ちゃん愛武の事大好き!」「僕もだよ!」

その時、坊ちゃん刈りの貴公子愛武のザマス風伊達メガネがいつもの様にいかす感じでキラッと光ったのだ。

気づけば愛武は弓枝の言葉に感動と興奮のあまりテーブルに置かれていた弓枝の手を己の右手ですぐさま掴むとぎゅっとキツク握り締めていた。弓枝の瞳が金平糖のお星様の様にキラキラと輝いた時、愛武の瞳にも同じ様な光が瞬いていた。まるで二人はメルヘンの世界の恋人同士だった。少し時間が止まってから、また二人は食事を続けた。

他愛無い話をしながら食事が終わるとテーブルにタイミングよく置かれたお茶をすすりながら弓枝が愛武に尋ねた。

「ねぇ、食事が終わったよ、さっそく聞きたいんだけど、お話って何?」

「うん、言うよ、それは、弓枝ちゃん!ぼ、僕と結婚して欲しいんだ!」

旅行の手配が全て完了すると愛武と弓枝は旅行会社を背にして食事所へと向かった。弓枝がお腹が空いたので何か食べたいと言い出したのだ。食事の場所へ向かう途中、愛武は弓枝の胸にこの間のデートの時にプレゼントしたピンクダイヤモンドのネックレスが光っている事に気づいた。

「この間プレゼントしたピンクダイヤモンド、とっても似合っているよ」愛武が優しく弓枝にそう言うと弓枝はとても照れくさそうにはにかんで頬を赤らめてみせた。それほどまでに愛武にタイミングよく褒められたのが嬉しかったのだろう。

そして弓枝は今、二人でいる都内の某百貨店の前まで来ると愛武の右腕にシッカリと左腕を回して腕組みをし、その何かを訴えかけるような愛らしいキラキラと輝く瞳は一心に坊ちゃん狩りの貴公子愛武に注がれていたのだ。

「さあ、これから中に入るよ」「うん、これからここの中で食事をするのね」「うん、そうだよ!さて食事は何がいいかな?」「うん。。とね、弓枝ちゃん、サッパリしたのがいいな、おそばが食べたい!」「じゃあ、和食だね!うん、いいよ入ろう!」

弓枝はさらに、キツク強く愛武の右腕に自分の左腕と右手でしがみ付くと頭を愛武の右肩に傾けて甘えるように擦り寄った。この時、誰が見てもタキシード姿の愛武とピンクのハーフコートと派手な柄の黄色いワンピースを着た弓枝の二人は立派なお似合いの恋人同士だった。

愛武は食事が終わったら、いよいよ弓枝に予定通りプロポーズをしようと決めており、その心中は熱く赤く燃え上がっていたのだ。

食事をする階に向かうエスカレーターの途中で弓枝は「ああ、今から旅行に行く日が楽しみ!」と言い、ウットリした表情で愛武の右肩に終始擦り寄っていたのだった。

「最初にも言ったけど食事の後で君に大事な話があるからね」花のプリンス愛武の瞳がキラキラと少女漫画の王子様のように光った。「うん、聞いたよ、でも何その大事な話って!すごく気になるなぁ、よかったら今話せない?」弓枝の瞳もクリクリと大きく瞬いて、キラキラとお星様のように輝いた。「ごめんね、やっぱり、ものすごく大事な話だから食事が終わってからにしたいんだよ!食後の飲み物を飲みながら話すからね!」そう言われてしまえば、何も言い返せるはずもなかった、弓枝は素直に愛武に従って百貨店の食事所へ向かった。

弓枝が愛武に見せたパンフレットは、同じフロリダ旅行のパンフレットだったが、こちらの方も内容はさっきの旅行の時と殆ど変わらない感じだった。だが、もし違いがあるとするなら、オプションで付く物が、最初から込みになっていて料金もその分が最初から加算されている形だという事だろう。

「現地に付いてから色々悩んでオプションを付けるより最初から付いていた方が簡単でいいよ!ねぇ、愛武!」

それはフロリダディズニーで遊べる範囲にも影響している物が最初から決めれたり、食事に最初からバイキングを頼めたりとか決めれる物だと旅行パンフレットに軽く目を通して愛武は直ぐ理解した。

「分かった、最初からオプション込みにしておこう!その方が便利に決まっているからね!さすが弓枝ちゃんは賢いね!」「まあね!賢さには自信あるよ!有難う愛武!」そういいながら、弓枝は得意げに右腕を上げてガッツポーズを取った。

「じゃあ、一人16万5千円だから二人でちょうど33万円だね!わかった、今すぐこちらのツアーに契約を変えてくるよ!待ってて!」「うん、頑張って!」

旅行受付に向かう間、愛武はしきりに頭の中で“33万円じゃ小遣いも持っていかないとならないから60万か70万嫌、もっと多めに見積もって100万は必要だな”と頭を悩ましていた。

勿論、父親から家を出る前に300万円を受け取っているから、決してお金が無い訳ではなかったが、このお金は婚約指輪に使うために貰ったお金なので、旅行に沢山使いたくなかったのだ。

しかし、贅沢好きな弓枝の事だから向こうに着いたら高価なブランド物をせびるに決まっている。
最低でも、やはり、100万円は絶対に必要なのは明らかだ。そうなると父親から貰った300万が200万円になってしまう事になる。結構な出費だ。だが、止むを得ない、二人の愛を深める為に絶対に必要な出費なのだ。

そんな事を考えながら旅行会社の受付に向かい、無事に変更をし終わると愛武は、再び弓枝の下へ舞い戻った。

「弓枝ちゃん!変更完了したよ!」「わぁ~旅行の日が楽しみ!今月の26日だよね!」「そうだよ!26日だよ!」「さっそく旅行に必要なグッズや着替えの準備しないとね!」

結局、よく二人で話し合った結果、愛武と弓枝は、まず外に出かける事になった。ただ、直ぐに食事をするのではなくて、まず、この間あった時約束した今度旅行に行く為に旅行会社に寄る事にした。

某旅行会社に愛武と弓枝の二人が着くとその中で弓枝がアメリカのツアーのパンフレットを手に取って、しきりに愛武に対して「ねぇ私、アメリカに行きたいな、アメリカのディズニーランドに前から行きたかったのよ!お願い、アメリカにしようよ!ねぇ、そうしよう!」と何かを強請る時にいつもする猫撫で声を出して、擦り寄って行った。

「アメリカのディズニーならカルフォルニアとフロリダにあるね!どっちに行こうか?」「わぁ~!嬉しいなぁ!本当に連れて行ってくれるの!?」「勿論だよ!この間、約束しただろう!僕は嘘は付かないよ」「うぅん、本当に?じゃあ、私ねぇ、フロリダがいいなぁ、だって4つのパークがあって世界最大でしょ!皆にも自慢できるし、ねぇフロリダにしよう!」「うん、君がフロリダがいいなら、僕はそうするよ!」「わぁ~い!有難う愛武!弓枝ちゃん幸せ!!」「いいよ、君が喜ぶのなら僕は、世界の果てだろうと連れて行くよ!」「きゃぁ~!カッコいい愛武、素敵!!」

そう言うと弓枝は、ピンクのハーフコートの裾をヒラヒラと翻しながら軽くその場でピョォーンと飛び跳ねていきなり愛武に抱きついた。その時、美しい花の妖精のような可憐な弓枝と凛々しい花のプリンス愛武の仲睦まじい、お熱いシルエットが周りの注目を浴びたのは言うまでもない。愛武の黒いタキシードと弓枝のピンクのハーフコートの組み合わせの絶妙なハーモニーが狂おしいほどに哀愁を奏でていた。

「じゃ、今、受付でフロリダ旅行の契約をしてくるね!」「うん、じゃあ、ここで待ってるね!」

弓枝は、旅行会社の待機用に用意されたソファに腰掛けると少し伸びをしてから、再び旅行パンフレットに目をやった。そのパンフレットの内容は、出発日によって金額が違うが、二人合わせて30万か40万あれば十分楽しめるようになっていた。フロリダディズニーの美しい興味を惹く画像が満載で弓枝はスッカリそれに気を取られてしまった。つまり気に入ってしまったのだ、すると愛武が用を全て済ましたようで弓枝の方に戻ってきた。

「ねぇ、愛武、今すぐだったら変更無理かな、こっちのツアーの方が楽しそうなのよ!」

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